【建設業経営事項審査】1期分の決算書が税込み提出された場合の「税抜き修正」について
2025/01/29
【建設業経営事項審査】1期分の決算書が税込み提出された場合の「税抜き修正」について
建設業経営事項審査とは?
建設業経営事項審査(以下、経審)は、建設業法に基づいて行われる建設業者の経営状況を評価するための制度です。公共工事の入札に参加するためには、この審査を受け、基準を満たす必要があります。
経審では主に、事業者の経営力や技術力、社会性などが審査されますが、審査の基礎となる財務データには「正確性」と「一貫性」が求められます。特に、税抜きでデータを提出することが重要です。
なぜ税込みではなく税抜きの修正が必要なのか?
経審では、建設業者の「実際の経営状況」を評価することを目的としています。消費税は売上や経費の一部として認識されません。そのため、税込みのデータをそのまま提出してしまうと、経営力の正確な評価ができなくなる可能性があります。
具体例として、消費税分を含む数字を用いると、売上高や経費が本来の金額よりも高く評価されてしまいます。そのため、税込みデータを税抜きに修正して、正確な経営状況を反映する必要があるのです。
税抜き修正が必要な場合の具体的手順
もし1期分の決算書が税込みで提出されてしまった場合は、以下の方法で税抜きに修正を行います。
1. 売上高の修正
税込み売上高から消費税分を差し引き、税抜きの売上高を算出します。
例:
税込み売上高:1,100万円
消費税率:10%
税抜き売上高:1,000万円(1,100万円 ÷ 1.1)
2. 経費の修正
経費に含まれる消費税を同様に除外します。
例:
税込み経費:550万円
税抜き経費:500万円(550万円 ÷ 1.1)
3. 利益の再計算
税抜きの売上高から税抜きの経費を差し引き、営業利益などを再計算します。
例:
税抜き売上高:1,000万円
税抜き経費:500万円
税抜き営業利益:500万円
4. 修正版の決算書を作成
税抜きに修正した売上高、経費、利益などを反映させた新しい貸借対照表や損益計算書を作成します。
5. 修正内容を経審に再提出
修正版の決算書を経営事項審査の審査窓口に提出します。
1期分の決算書が税込みで提出されていた旨と、税抜き修正を行った内容を記載した説明書も併せて提出するのが適切です。
修正の際の注意点
正確な消費税率を適用する
適用された消費税率(8%、10%など)が期ごとに異なる場合は注意が必要です。
整合性の確認
他の年度のデータが既に税抜きで提出されている場合、それらとの整合性を確認してください。
専門家の確認
修正作業には正確性が求められるため、必要に応じて行政書士や税理士のサポートを受けると安心です。
税抜き修正が必要な理由を踏まえた手続きの重要性
経審では、正しい税抜き金額で評価を受けることで、公平かつ適切な基準に基づく審査が可能となります。不適切なデータで審査を受けてしまうと、業者評価において不利になる可能性もあるため、注意が必要です。
また、経営事項審査で高い評価を得ることは、公共工事の入札を有利に進めるための重要な要素です。このような重要な審査で不備が生じないよう、適切な書類準備と修正作業を行いましょう。
まとめ
1期分の決算書が税込みで提出されてしまった場合、速やかに税抜き修正を行い、正確なデータを再提出することが求められます。売上高や経費、利益などの財務データを税抜きで評価し直すことで、正しい経営評価が受けられるだけでなく、公共工事の入札にも適切に対応できます。専門的な対応が必要な場合は、ぜひ行政書士などの専門家に相談してください。
当事務所では、建設業経営事項審査に関する各種手続きや書類作成の代行を承っております。ぜひお気軽にお問い合わせください!